顧問弁護士さんから
「今年はお歳暮に神戸天ペロのかりんとう饅頭を使う」という話をいただきました。
「お世話になっている、かなり目上の方に10件ほど贈る」
「それにふさわしい商品を作ってほしい」
というオーダーです。
いつもの天ペロかりんとう饅頭でもいいけど、ちょっと変えて欲しいんだよねと。目上の人への贈答ということを全面に出して新しく考えて欲しいということです。
目上の人への贈答というのは目的が「喜びの共有」ではないんですね。
言ってしまえば「わいろ」です。
これは似て非なるものです。
そこで弁護士さんから、「わいろ」としてふさわしい商品にするために出された要望は、
「かりんとう饅頭であること」
「常温で日持ちがすること」
「見た目の高級感があること」
「味は普通ぐらいであれば充分」
以上4点です。
親しいがゆえの本気の圧力を感じました(^_^;)
当店には、サブレや乳菓など、日持ちがする自信のあるお菓子もありますが、看板商品はかりんとう饅頭です。目上の方への贈答として看板商品ではないものを推すのも問題じゃない? きちんと商品開発しなさいよ、という圧力です。
私は、自分一人でやっていると、「とにかく美味しいものを」という一点に集中してしまう人間です。視野が狭い人間です。だから人との関わりが重要なんですよね。
この弁護士さんは「味なんかどうでもいい」「職人のこだわりなんかどうでもいい」と考えているタイプです。そんなことより、用途にあったちゃんとした物であるかが重要なのです。
そして、深い信頼関係があるからこそ、言いにくいことを言ってくるのです。
オブラートを全て外すと、
「いつもの饅頭は、使えない」
「使えるやつを、作れ」
です。
商品の研究開発こそが当店の初心そのもの。
圧力を受けてすぐさま取り掛かりました。


お客様から「こんな商品作ってほしい」と言われることはすごく嬉しいことです。
しかし、応えられないことも多いです。「これは出来ません・・・」となることもしばしばありました。安請け合いをして先方さまのご迷惑になってしまうと取り返しがつかないのです。
思い出すのも恥ずかしい失敗してきたものです・・・。
しかし、今回は「かりんとう饅頭の新型」という圧力です。
これはワクワクしかないですね。神戸天ペロはかりんとう饅頭の専門店です。
よくぞ機会を与えてくれました。
こんなところから将来の店を支える超重要な商品が生まれるものです。そのつもりで取り掛かります。
原材料の何を減らして何を増やせばどうなるということは頭のなかに揃っています。
スタッフが帰った工場にコソコソと入っていって早速実験をスタートです笑。

(揚げる前のかりんとう饅頭)
弁護士さんの「味は普通ぐらいでOK」という意味もよく分かります。
ちゃんとした普通の味であれば良いんですよね。
それよりも見た目でわかる高級感が大事なんですよね。
が、私にも職人としてのプライドがありますから、ここは味に関しても「めっちゃ美味しいね!」と喜んでいただけるものを作り上げたいと思います。
さあ、やろう。
弁護士が目上の方への贈答としてストレスなく使用できる新たなかりんとう饅頭を作りましょう。先方さまに「美味しい!」と言っていただき、弁護士さんにも思わぬホクホク感を味わっていただきましょう。